TUDOR ブラックベイ 54を長く愛用するためのメンテナンスガイド
2026年7月23日
今回は、お客様からのお問い合わせも多いチューダー「ブラックベイ 54」のメンテナンスについて、詳しくご紹介いたします。
ブラックベイ 54は、1954年に登場したチューダー初のダイバーズウォッチ Ref.7922 の意匠を受け継ぎ、37mmというコンパクトなケースサイズで多くのお客様にお選びいただいている人気モデルです。
マニュファクチュール キャリバー MT5400を搭載し、200m防水、約70時間のパワーリザーブ、COSC認定クロノメーターと、価格帯を考えても非常に満足度の高いスペックを備えています。
当店でも「せっかく購入したので長く使いたい」というお声を数多くいただきます。そこで今回は、店頭でよくご案内している内容をもとに、日々のお手入れ方法から専門的なメンテナンスの目安まで、わかりやすくまとめました。
1. まずは日常のお手入れから
使用後は乾いた布で拭くことを習慣に
ダイバーズウォッチとはいえ、汗や皮脂、水分がケースやブレスレットに残ったままですと、金属疲労やサビの原因になることがあります。ご帰宅後、柔らかい布で優しく拭き取っていただくだけでも状態は大きく変わります。特にブレスレットのコマの隙間は汚れが溜まりやすく、店頭にお持ち込みいただいた際にもよくお伝えしているポイントです。
磁気を避けていただきたい理由
MT5400にはシリコン製ヒゲゼンマイが採用されており耐磁性に優れていますが、スマートフォンやノートパソコンのスピーカー部分、バッグの留め具などに日常的に近づけていると、精度に影響が出るケースもございます。「最近ちょっと進みが早い気がする」というご相談の中には、これが原因だったということも少なくありません。
リューズは根元までしっかりと
ブラックベイ 54はスクリューダウン式リューズを採用しており、200mの防水性能はリューズが確実に締まっていることが前提となります。時刻合わせや手巻きの後は、必ず根元までねじ込んでいただくようお願いしております。緩んだままお使いになると、防水性能が十分に発揮されず、内部への浸水につながるおそれがあります。
2. 保管方法についてのご案内
長期間お使いにならない場合は、直射日光や高温多湿を避けた場所での保管をおすすめしております。自動巻きのため動かさずに置いておくと止まってしまいますが、これは故障ではございませんのでご安心ください。再度お使いになる際は、リューズを回して手巻きをしてからご着用いただくと、ムーブメントへの負担も少なく済みます。ワインディングマシーンをお使いのお客様も多くいらっしゃいますが、パワーリザーブ相当の巻き上げで十分です。
3. 防水性能は定期点検で安心をキープ
ダイバーズウォッチの魅力である200m防水も、内部のガスケット(パッキン)は経年で劣化してまいります。海やプールでのご使用を予定されている場合は、当店へ定期的なメンテナンスのご依頼をいただくのが安心です。
4. オーバーホールはどのくらいの頻度で?
メーカー推奨では、オーバーホール(分解掃除)の目安は概ね5年に一度とされています。自動巻きムーブメントは内部の潤滑油が徐々に劣化・蒸発していくため、定期的な分解掃除でオイルアップとパーツチェックを行うことが、末長くお使いいただくための鍵となります。「精度がずれてきた気がする」「リューズの巻き心地が以前と違う」といったご相談をいただいた場合は、5年を待たずにお気軽にご相談いただければと思います。
5. ベゼルとブレスレットのお手入れ
ブラックベイ 54の逆回転防止ベゼルは、数字とバー以外の目盛りがないシンプルなデザインが特徴です。回転部分に砂や塩分が入り込むと動きが重くなることがございますので、海辺でご使用になった後は真水で軽くすすいでいただくか、柔らかいブラシで汚れを落としていただくと良い状態を保てます。“T-fit”クイックアジャストクラスプは工具不要でサイズ調整ができる便利な機構ですが、可動部分に汚れが溜まりやすいため、こちらも定期的な清掃をおすすめしております。
おわりに
ブラックベイ 54は、ヴィンテージの意匠と現代の技術が融合した、まさに「使うための道具」としての機械式時計です。日々の小さなお手入れと、数年に一度の専門的なメンテナンスを組み合わせることで、その性能と美しさを何十年にもわたってお楽しみいただけます。
当店では、日常のお手入れに関するご相談から、防水検査、オーバーホールのご依頼まで幅広く承っております。「少し様子を見てほしい」「音や巻き心地が気になる」といった小さなことでも構いませんので、お気軽にスタッフまでお声がけください。大切な一本を、これからも末長くお使いいただけるよう、私たちがしっかりサポートいたします。