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TUDOR ブラックベイ 54の歴史

TUDOR ブラックベイ 54の歴史

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TUDOR ブラックベイ 54の歴史

2026年7月31日

同じ「ブラックベイ」という名前がついていても、モデルごとにルーツとなる年代や参照元が異なり、それぞれに固有の物語があります。ブラックベイ 54は、単なる「小さいサイズのブラックベイ」ではなく、チューダーというブランドの原点そのものを現代に蘇らせたモデルです。今回は、その成り立ちを歴史的な背景から順を追って解説します。

すべての始まりはRef. 7922(1954年)

物語は1954年にさかのぼります。この年、チューダーはブランド初のダイバーズウォッチ「オイスター プリンス サブマリーナー Ref. 7922」を発表しました。防水性能は当時としては先進的な100m。回転ベゼル、視認性の高いインデックス、日付表示のないシンプルな文字盤という構成は、後のチューダーのダイバーズウォッチの礎となりました。

このRef. 7922は、フランス海軍やアメリカ海軍にも評価され、実際にプロのダイバーたちに広く使用されたモデルです。「スモールクラウン」を備え、後にシリーズの象徴となる12時位置の赤いトライアングルがまだ採用されていない、均整の取れたクリーンなデザインも大きな特徴でした。

なお同時期には、手巻きムーブメントを搭載した兄弟モデルRef. 7923も存在します。チューダーとロレックス双方を見渡しても唯一の手巻きサブマリーナーという、コレクターの間では非常に希少な存在として知られています。

ブラックベイというシリーズの広がり

チューダーがこの歴史的なDNAを現代に呼び戻したのは2012年のこと。「ヘリテージ ブラックベイ M79220」として復刻されたのがシリーズの出発点です。以降、2016年に36mmケースの「ブラックベイ 36」、2017年にクロノグラフモデル、2018年には「ブラックベイGMT」、2022年には冒険家向けの「ブラックベイ プロ」と、ラインナップは着実に広がっていきました。

中でも大きな存在感を放ってきたのが2018年登場の「ブラックベイ 58」です。こちらは1958年、チューダー初の200m防水を達成したRef. 7924をオマージュしたモデルで、39mmケースと絶妙なバランスから瞬く間に人気モデルとなりました。

そして2023年、ブラックベイ 54が誕生

こうした流れの中で2023年に登場したのが、今回の主役「ブラックベイ 54」です。ブラックベイシリーズの中でも、初代Ref. 7922の意匠を最も忠実に受け継いだモデルとして開発されました。

37mmというケースサイズはオリジナルそのままの比率。逆回転防止ベゼルには1分刻みの目盛りではなく5分ごとの数字のみというミニマルなデザインが採用されており、これも当時のダイビング用時計としての実用性を反映したものです。分針の根元が絞り込まれた形状や、50年代らしいロリポップ型の秒針など、細部にまでオリジナルへのこだわりが息づいています。

もちろん現代の時計として進化している部分もあります。防水性能はオリジナルの100mから200mへと強化され、搭載されるキャリバーは自社製のMT5400。ブレスレットには工具なしで微調整できる“T-fit”クラスプが備わり、実用性は現代基準までしっかり引き上げられています。

名前の付け方にもブランドの哲学が

チューダーのブラックベイシリーズは、モデル名に発表年や象徴的な数字を冠する命名規則が特徴的です。「54」は初代Ref. 7922の登場年、「58」は200m防水を達成したRef. 7924の登場年に由来します。単なる型番ではなく、その時計が受け継ぐ歴史そのものを名前に刻んでいるわけです。お客様にこの背景をお伝えすると、「数字の意味を知って一気に愛着が湧いた」とおっしゃる方が多いのも印象的です。

バリエーションの広がり

登場から間もないモデルながら、ブラックベイ 54にはすでに複数のバリエーションが用意されています。定番のブラック文字盤に加え、ライトブルーの文字盤を纏った“ラグーンブルー”などのカラーバリエーションも登場し、ヴィンテージダイバーズウォッチとしての表情の幅を広げています。ムーブメントやケースサイズはそのままに、文字盤の色だけで印象がガラリと変わるのも、このモデルの楽しみ方のひとつです。

まとめ:歴史を「着る」という体験

ブラックベイ 54は、チューダーというブランドが70年前に切り拓いたダイバーズウォッチの原点を、最も純粋な形で今に伝えるモデルです。スペックや価格ももちろん大切な判断材料ですが、こうした背景を知ってから腕を通していただくと、腕の上での見え方がまったく違って感じられるはずです。ぜひ店頭で、その歴史の重みを実際に手首で体感してみてください。



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